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「おかえり、アン。よく頑張ったね」~被災犬、3週間ぶりに我が家へ~


3月31日、アニマルクラブに、地震当日、東松島市赤井から行方不明になっている犬、『アン』の情報を知りませんか?というメールが届きました。
写真に、見覚えありました。情報を共有している大崎市の仲間、『バトンタッチ』が保護している犬によく似ています。
発見場所も近い!写真をメールでバトンタッチの小松さんに送り、確認してもらい、さらに飼い主さんと話してもらって、『アン』ちゃんにまちがないということになりました。
飼い主さんは津波で車をなくし、小松さんはガソリン不足と聞き、4月1日夜に、東京からボランティアに来てくれた宍戸さんの車で迎えに行き、送り届けました。
3週間ぶりの再会!家族皆で、外に出て待っててくれました。誰もが嬉しくて、ほっとして、アンに触って、おやつをあげたくてしかたない様子てした。町内の八幡神社のお守りを首輪に着けていたのが効いたのかも…とほころんだ、飼い主さんの笑顔が印象的でした。

3月11日、アンはいつものように自宅の玄関に居ました。地震で下駄箱が倒れてきて、お父さんが、ふさがってしまったドアを開けた瞬間に、アンが飛び出し てしまい、いつもなら閉まっている家の門扉も開いてしまっていたから、そこから出て行ってしまったそうです。その後の大津波警報で避難して、落ち着いてか ら戻ってみれば、家も車もダメになり、石巻市の高台にいる兄弟の家にお世話になっていました。心配で何度も探しに行き、尋ねて歩いて、ある方からアニマル クラブに聞いてみたら?と教えられたそうです。
一方アンは、家から飛び出した後、やはり津波に巻き込まれ、木の枝に絡まり、水の中にいたところを町内に住む阿部さんが掬い上げてくれたのです。阿部さんが犬を飼っている友人に相談して、その方がバトンタッチにお願いした、という経緯でした。
今回の被災でアンの飼い主さんと同じ想いで、はぐれてしまった犬や猫を捜している方がいっぱいいることと思います。
私逹も29日、石巻市の貞山堀と蛇田駅の間の線路を行ったり来たりしている犬の相談を受け、行ってみました。白い中型犬の姿が見えました。線路脇に段ボー ルの小屋とエサが置かれていました。若くはない雄犬で、古い茶色っぽい首輪をしていました。近づくと唸るので、触るこてができません。一緒に行ったゆきお さんがソーセージを食べさせている間に、私がリードの先をワッカにして首に掛け、締めた後で首輪にもリードを繋ぎました。
運河の先は野原、その向こうに家々、そして蛇田駅があります。線路の上を歩きたがらない犬をなだめ促しながら、ゆきおさんとリードを1本づつ持って、ゆっ くりゆっくり蛇田駅に向かいました。車に乗せて来てくれた宍戸さんと蛇田駅で落ち合い、ゆきおさん宅に送ってもらいました。帰り道、市内の中学校に避難し ている方を訪ね、相談のあった「被災して亡くなった人の家に残る、警戒心いっぱいで出て来ない猫」を保護するための捕獲器を貸しました。
ゆきおさんは犬の心がわかる人。時間をかければ、崖っぷち犬ならぬ『線路犬』の心の“通行止め”も解除されることでしょう。そして、飼い主さんのお宅に 帰れますように、被災してオフィスを失った司くんが、パソコンを借りて、「被災犬・猫情報」を携帯電話からも見れるように作ってくれました。
みんな大変なのに、動物逹のために一生懸命やれることを頑張っています。そして、会ったことめない遠くの方々が、支援物資やカンパを送ってくださいます。 (まだお礼も伝えられなくて、申し訳ありません。一昨日、20日ぶりにシャワーを浴びたところです。)それが今、被災した私達の心を温めるご馳走だと感じ ています。