「僕の妹、びび」

ビビアン

題名 「僕の妹、びび」

菊地 隼人

「びび、大好きなおやつの時間だよ。」
と僕が呼ぶと、どこからでも走って来て、僕の顔をじっと見て待っている。とってもかわいい猫のびびは、去年十月に僕の妹になった。
ノルウェージャンフォレストキャットという種類の猫だ。 全身、長い毛をしていて、頭からしっぽまでは茶色とこげ茶がまざっている。
しっぽの長さは20cm位でふわふわな毛並みをしている。 触るととてもやわらかくて気持ちいい。お腹や手足は真っ白だ。肉球はきれいなピンク色で触るとプニュプニュしている。鼻先もピンクでしめっているのが健康な印だ。毎日触って確かめるのは、僕の役目だ。
本当の名前はびびあんという。びびは我が家に来たばかりのころ、怖がってゲージから出て来なかったり、ちょっとした物音でビクビクしていた。その様子を見て母が
「 びびってばかりいるから 、びびちゃんていう名前がいいんじゃない。」
と言った。すると祖母が
「びびちゃんだとかわいくないから、びびあんにしよう。」
と言ったので、名前は 菊池びびあんになった。
僕の家では、母が小さな頃からずっと猫を飼っていた。ゆずってもらったり、のら猫が迷いこんで来て二匹一緒に飼っていたこともあるそうだ。僕が生まれてからの家族写真にも、いつも猫が一緒に写っている。みんな猫好きで、 ペットというより、家族の一員なのだ。でも震災の津波で飼っていた猫を失ってしまい、一年半ほど、 猫がいない生活になった。何度か猫を飼いたいと思ったけど、亡くした時の悲しさを思うとつらくてがまんしていた。僕は時々ペットショップでかわいい猫を見かけると、飼いたいな、遊びたいなとも思っていた。
去年の秋になってとうとうがまん出来なくなってしまった。そこで祖母が、アニマルクラブという所に電話をした。アニマルクラブは いろいろな理由で飼えなくなった犬や猫を保護する所で、びびもその中の一匹だった。せっかくまた猫を飼うなら、震災で飼い主がいなくなった猫をうちの子にしようと思ったのだ。電話をして何日か後にびびを連れて来てくれた。 びびは今は家の中を自由に動き回っているけれど、アニマルクラブにいた時は、他の猫となじめずずっとゲージの中で丸まっていたそうだ。だから初めて家に来た時もカゴの中でじっと固まって動かず キョロキョロと僕の顔を見ていた。 びびを一目で気に入った僕達はぜひ飼わせてほしいとお願いしてゆずってもらった。
びびは我が家の猫になって一週間位ですっかりみんなと仲良しになった。びびという名前をつけた理由を忘れてしまう位、あまったれで人なつっこい。みんなのいる所でべたーと横になって話を聞いている。寒い時は、祖母の布団の中に入ってねたりもする。もうずっと前から家族のようだ。
びびはもうすぐ二才。 でもまだ子供でよくじゃれる。ボールを投げると楽しそうに転がして遊んだり、とつぜん家の中を走り回ったりとても元気だ。食事の時はそばに寄って来てざぶとんに座り、鼻をピクピクさせて何かほしそうにする。魚の中でも鮭が大好物なのはノルウェーの猫だからかなと思う。僕が買って来たおやつもとてもおいしそうに食べる。
母は仕事から帰ってくるとまず最初に
「びびちゃん ただいま。」
という事が多くなった。そしてぎゅっと抱いてフワフワの毛の中に顔をうずめる。ひとりっ子の僕はみんなにかわいがられているけど、今はびびが一番かもしれない。 でもちっとも悔しい気がしない。だって僕も大好きな妹だからだ。いつまでも元気であまったれな妹でいてほしい。
「びびあん、この家に来て、僕の妹になってくれてありがとう。いつまでもいっしょに遊ぼうね。」